臨床工学科には、現在28名の臨床工学技士が在籍しており(2019年12月)、安心・安全な医療を支える「各種医療機器の操作・保守・点検」と、透析治療において重要な「水質管理」を主な業務としています。透析室では、透析装置のメンテナンスに加えて、患者様ごとの透析内容を医師と検討したり、透析開始の際の穿刺や、透析中の患者様のサポートなどを看護師と取り組んだりと、幅広い業務に関わっているのが特徴です。
また、さまざまな医療機器を扱う手術室・カテーテル室での業務や、ペースメーカー関連業務、人工呼吸器などの生命維持装置の管理など、安全で質の高い医療の提供のために専門性を発揮。時代とともに、医療機器の高度化・多様化が進んでいるので、外部セミナー・学会に積極的に参加してスキルアップに励んでいます。
当院では、透析業務を自動化する最新の全自動透析装置を導入し、医療スタッフが患者様と向き合う時間を増やしています。また、最新の透析装置は「シンプルな操作」と「多彩な機能」が魅力で、治療中に装置に触れる回数が少ないことが医療安全・感染対策に繋がっており、透析中の血圧低下を予防する機能などを活かして、追加治療の軽減も実現しています。
当院の血液浄化法は「血液透析(HD)」だけでなく、より多くの老廃物を取り除いて合併症を予防する「血液濾過透析(オンラインHDF)」や、多臓器不全などの全身状態の悪い重症患者様への「持続的血液濾過透析(CHDF)」、家族性高コレステロール血症患者様への「LDLアフェレシス」など、種類がさまざま。医師や看護師と連携を図りながら、患者様のお身体の状態に合わせた治療法の選択を行っています。
透析室では「チーム医療」を推進し、医師、看護師、管理栄養士、検査技師、薬剤師などが密な連携を図っています。近年、力を注ぐチーム活動の一つが、透析終了時の目標体重である「ドライウェイト(DW)」の管理。腎臓の働きを失った透析患者様は、体内の水分量を透析で調節しているので、DWを基本に透析時の除水量を設定するのです。DWの決定時は、身体状態を総合的に把握するため、食事、内服、血圧、レントゲン、心臓超音波、採血など、あらゆる情報をチーム一丸となって収集しています。
DWは、身体の状況によって変化するものです。正しいDW評価には、循環器や末梢血管、呼吸器などの医療知識に加えて、患者様の食欲、四肢の浮腫みなどのフィジカルアセスメントも重要で、それらの経過的な変化を観察する必要もあります。適切なDW管理には、臨床工学技士のメカニカルな知識だけでなく、他職種の専門性も融合し、患者様の生の声にも寄り沿っていくことが大事だと感じています。
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○透析技術認定士 ○第2種電気工事士 ○第1級陸上特殊無線技士 ○第2種ME技術者
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平成15年春日部嬉泉病院入職