担当 | 楢松 雅裕 医師 |
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このページは、整形外科外来のご案内です。
概要および医師紹介
資格等 | 博士(医学) 日本整形外科学会 整形外科専門医 日本リウマチ学会 リウマチ専門医 日本整形外科学会認定リウマチ医 日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医 日本リウマチ財団登録医 身体障害者福祉法指定医師(肢体) 日本医師会認定産業医 介護支援専門員 |
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所属学会 | 日本整形外科学会 日本手外科学会 日本肘関節学会 日本リウマチ学会 日本骨粗鬆学会 |
このような症状がある方に
手指、手首・足首、足指の関節に腫れや痛みがあり、その場所が移動する。肘、肩、股、膝関節の痛みや腫れ | 関節リウマチ等が疑われる症状 |
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手のしびれや痛み | 手根管症候群などの絞扼性神経障害が疑われる症状 |
指がひっかかる、痛くて動かせない等の症状 | バネ指等の腱鞘炎が疑われる症状 |
手首が痛い | ドケルバン病、尺骨突き上げ症候群、SLAC Wrist等が疑われる症状 |
肘が痛い、動かない | テニス肘、野球肘、変形性肘関節が疑われる症状 |
転んだだけで骨折した、最近背が縮んだ、丸くなった | 骨粗鬆症等が疑われる症状 |
その他、腰痛、膝痛、頸部痛などのいわゆる整形外科疾患 |
診療日・時間/ご予約電話番号
診療日・時間 | 毎週水曜日 9:30~15:00 完全予約制
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ご予約電話番号 | お電話にてご予約ください。 TEL.048-736-0111 (代) 受付/月~土曜日 (日・祝日を除く) 9:00~16:00
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関節リウマチについて
関節リウマチは手指などの関節の腫れ、痛みから発症、最終的には体中のあちこちの関節が破壊され変形を生じる。特に中年の女性に発症しやすい原因が不明の病気です。
以前は、病状が進行し、食事の支度や衣服の脱ぎ着から、歩くなどの日常生活に不自由を生じ、時には車いすや寝たきりになる方もいる程の病気でした。
しかし、約15年前からメトトレキサートという免疫抑制剤が日本でも使えるようになったことと、約10年前からレミケードを始めとする生物学製剤の開発導入により、関節リウマチの治療は劇的に進歩し、関節リウマチが治る(寛解)可能性がある病気になりました。
このようななかで、リウマチの診療は大きく変わりました。まず第一に早期診断早期治療(WindowofOpportunityという考え方)です。壊れてしまった関節は最新の薬でもなかなか治す事はできません。それに対応して、1987年以来20年以上ぶりに関節リウマチの診断基準が改訂(ACR/EULAR新基準2010)され早期よりの積極的な治療が可能になりました。
また、関節リウマチの症状や進行度は患者さんにより異なるわけですから、その病状を個々に評価、数値化し(総合活動性疾患活動性指数:DAS28,SDAI,CDAI等)、治療目標を定めて治療する(TreattoTarget:T2T)という考え方が導入されています。これは、高血圧や糖尿病の治療を血圧の数値や、血糖値から治療方法を選択して行くのと同じ事です。(数値化できない目標は、無いに等しいという事です。)
少し薬剤についてふれます。従来関節リウマチの薬物治療は、アスピリンに始まるいわゆる消炎鎮痛剤等から、プレドニンとよばれる副腎皮質ホルモン、数種の免疫調節剤で行われてきました。1999年以降本邦で使用可能となったメトトレキサートはいわゆる免疫抑制剤で、現在は関節リウマチの第一選択薬とし、関節リウマチのアンカードラック(リウマチという海賊船が悪い事をしに行かないように港につなぎ止めておく錨の役目をする薬という意味)とされています。それに加え、生物学製剤が開発導入され、薬物治療のパラダイムシフト(劇的変化)がおきました。関節リウマチの本態は、関節の袋(滑膜)に炎症を起こす病気ですが、生物学製剤は炎症を生じさせる細胞間の伝達物質(サイトカイン)をストップさせることでリウマチを治療する薬剤です。この薬剤は、多くの患者を寛解に導くだけでなく、いったん破壊された関節を修復させることもある薬剤です。現在、本邦では7種類の薬剤が使用可能です。
しかし、このように劇的な治療効果のある有用な薬剤ですが、時には有害にもなります。場合によっては、この副作用のために生命的危険を生じる事すらあるのも事実です。当院では丸山院長や里村先生をはじめとするリウマチに造詣のある優秀な内科の先生方のサポートを得られるため、これらの"すごく有用だけれども、時には有害にもなりうる"最新の関節リウマチ治療薬を使用した治療を安心して受けられます。
骨粗しょう症について
骨が脆くなり、小さな外力で骨折を生じ得る状態を骨粗鬆症といいます。日本人では、人口の約1割、1290万人の方が骨粗鬆症と言われています。
骨はその軽さからは考えられないほどの強度をもっています。これを維持するために骨は常に、作り替えられています(骨吸収と骨形成)。このバランスが崩れ、結果的に骨の量(骨塩量)が低下している状態(若い頃の70%以下)で骨粗鬆症と診断されます。ただし、現在の骨粗鬆症の診断は、骨塩量を測定する事で行われていますが、実は骨強度は単純に骨塩量で決まるわけではありません。一般に骨強度は骨塩量7割、骨質3割とされます。骨を鉄筋コンクリート建物にたとえると骨塩量は建物のセメントの量、骨質は鉄筋の状態に当たり、骨の中のコラーゲン状態によるとされています。建物の耐震性は、セメントの量だけでなく、鉄骨が錆びているといった、鉄骨の状態にも左右されますが、骨強度についても同様の事が言えるわけです。
一般にこの骨吸収と骨形成バランスの崩れは加齢により生じます。特に、女性は閉経による女性ホルモンの分泌低下が骨形成の低下に関与していると考えられており、骨粗鬆症が女性に多い原因とされています。70歳代女性の3-4割の方が骨粗鬆症のため、背骨が潰れる(圧迫骨折)を生じます。
こうした加齢に伴う生理的な変化に加え、遺伝的要因や栄養不良・ダイエット、運動不足といった生活習慣も、骨粗鬆症の発症に関与しているとされています。もちろん骨粗鬆症は、男性にも生じる病気です。
また、病気や、そのために服用している薬が原因となっている骨粗鬆症もあります。原因となる病気としては、副甲状腺機能亢進症などの内分泌疾患、関節リウマチのほか、動脈硬化やCKD(慢性腎臓病)、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、糖尿病などの生活習慣病で頻度が高いとされています。特に、関節リウマチではその45%の方が骨粗鬆症とされ、関節リウマチの最大の合併症とされています。 これらの病気では、骨代謝に影響を及ぼすホルモンが不足したり、骨形成に必要な細胞などに異常が起こったり、骨吸収が亢進して、骨質を劣化させる物質が増えていることが骨強度の低下の原因になっています。
次に治療についてですが、近年骨粗鬆症についても有効な薬物が使用可能となっています。さらに、これからも次々に新しい薬剤が投入予定です。これらの薬を、それぞれの患者さんの状態によって使い分けていくことが大切であると思います。特に内科的合併症のある方には、薬の副作用への対応など細心の注意が必要となり、腎臓を中心に専門性の高い内科医のサポートがうけられる当院の診療体制はきっと患者さんのメリットになると思います。
最後に、このような骨粗鬆症ですが、診断や治療経過を観察するにはそのための機材が必要ですが、当院には既に完備されております。